食欲の秋!馬の「食べる!」を大解剖

馬ってどんな動物

食欲の秋がやってきました!少しづつ気候も涼しくなり、馬達の食欲もUP!
500キロ前後(クラブにいる大半を占めるサラブレッド)もある馬達には、毎日季節や体調に合わせたメニューを与え、健康維持に努めています。馬達の体はどんな構造なのか、どんな味が好き?どんな風に食べる?今回は、馬の「食べる」を大解剖してみます。
<味覚>
 馬の味覚に関してはまだ解明されていない部分も多いですが、甘党と知られています。人参、氷砂糖、黒糖などは喜ぶ馬も多いですね!ただ、その一方で苦みのある草やハーブなども食べるようです(おやつをあげる際はスタッフにご確認ください)
<草を食べるという事>
 馬の主食である草は、大部分が「セルロース」という食物繊維です。食物繊維というと人間でも体にいいイメージはありますが、人間の場合はセルロースの消化吸収はほぼできません。馬達はそんな「セルロース」をしっかり栄養として吸収する素晴らしい胃や腸を備えているので、草ばかりで生きていけるのですね!

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<人間とかなり異なる!食道や胃>
 馬達は、いつもモグモグしているイメージがありますが(笑)1キロの乾草(←餌として与えられる乾燥した草の飼料)を40分ほどかけ3000回、四角いキューブやつぶつぶのペレット(ぜひ厩舎の餌箱をのぞいてみてくださいね!)は10分で1000回ほども咀嚼(そしゃく)するそうです!顎が痛くなりそう。。。さすが草食動物です。
 しっかり噛み砕かれたごはんは食道から胃へ。牛やヤギなどは胃が複数ありますが、馬は1つだけ。そのかわり、とても長い腸があります。おもしろいのが、この口→食道→胃のルートですが「一方通行」なんです。つまり1度胃に入ると吐く事が出来ないのです。人間の場合は嘔吐することができますが、馬は食べすぎたり、何か吐きたい場合も嘔吐することはできません。この作りは肉食動物に襲われても、すぐ逃げることができるというメリットはありますが、消化器不全、消化器障害を起こしてしまう事もあるので怖いですね。
<食いちぎりとすりつぶしはお任せ!機能的な「歯」>
 先ほど3000回咀嚼するとお伝えしましたが、もし1日中放牧されていた場合は、約8万回もの回数を咀嚼するそうです!そんな咀嚼を助ける重要な馬の歯は12本の前歯と24本の臼歯からなります。そして、哺乳類では珍しく雄と雌で本数が異なります。(雄は4本の犬歯が加わります)
 人間同様「歯」は健康にとても関わる部分で、クレインでは歯並び、歯のすり減りなどは毎年「歯」専門の獣医師に健診してもらい、必要に応じで歯を削ったり、抜歯もしてもらっています。体を治してくれる人と認識しているのか?暴れてしまう子は少なく、意外におとなしく治療に臨んでくれています。ちなみに馬の歯は一生伸び続け、食べる事ですり減るを繰り返していくので、虫歯にはなりにくそうです。羨ましいですね!!

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 馬のちょっと不思議な体の構造。いかがでしたか?食欲の秋は、馬を見習い美味しいものをゆっくり噛んで、しっかり栄養を吸収してみませんか?(笑)

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咀嚼のメリット
・脳の活性
・消化吸収率UP
・虫歯の予防
・肥満防止
・ガンや認知症などの老化防止
 咀嚼のメリットはこんなに!厚労省では健康のために、1回あたり30回噛むこと、水分で流し込まない、一回の量は少なく。を推奨しています。ぜひ意識して、美味しい食事の時間を過ごしてみてください♪♪
written by Okanami
参考書籍・サイト
・乗馬ライフ ・アルティメイトブック馬 ・馬大図鑑 ・馬の百科
・南相馬アニマルクリニック https://www.minamisoma-vet.com