春は出産シーズン
梅の季節も終わり、春の気配が近づいてきました!春は馬達にとっては「出産」のシーズン。厩舎を探検してもらうと...名前の札には出生地と誕生日も記してあることに気づくと思います。馬達の誕生日は、なぜか春ばかり!なぜなんでしょうか?
【馬達は春生まれが多い?】
生物学で馬は「長日性季節繁殖動物」と呼ばれ、一年の中で日が最も長くなる頃に繁殖期を迎える動物です(北半球では4~9月ごろをさします)。馬の他に、イタチやハムスターもこちらのグループになります。その反対に「短日性季節繁殖動物」には、ヤギやヒツジなどがいます。どちらにも共通しているのは、出産時期が暖かく食物の豊富な春先になっていることです。馬達だけが春生まれが多いわけではなく、多くの動物たちが春生まれが多いんです!生き残り、子孫を残していくための生物の神秘ですね。
(競走馬たちも、一般的に種付けの時期が同じように春から夏に行われます)
↑3月の北海道 牧場には沢山の子馬達がいました。短い尻尾、きゃしゃな体、おかあさんに寄り添う甘えん坊の姿、たまらないですね!
【妊娠と出産、成長】
馬の妊娠期間は約11か月。人間と同じように、長い時間妊娠期間をすごします。ただし一回の妊娠で基本は1頭で、双子が生まれるのは本当に稀です(確率は1000分の1くらい!?)ちなみに犬は6~10頭以上産むこともあるので、哺乳類でも全然違います!
仔馬誕生のシーンは、テレビなどでもよく見かける有名な場面ですが、11か月お腹ですくすく育った仔馬は出産後1時間もしないうちに自力で立ち、すぐに母乳を探します。そして、すごいのは仔馬だけではなく、母馬も出産後1時間もしないうちに立ち上がるそうです。人間なら歩くのはもちろん、立ち上がるのもままならないのが普通なのに!野生動物が生き残っていくことの厳しさが遺伝子にも組み込まれているんですね。
草食動物の中でも、馬達は母子べったりタイプ。ママと常に一緒に過ごしながら、母乳を飲み、すこしづつ牧草も食べだし、いずれ卒乳していきます。人間の赤ちゃんの卒乳(もしくは断乳)は、半年だったり、2年だったりかなりのふり幅があるように感じますが、馬の場合は約6か月くらい、すぐに独り立ちの時が来ます。
どんな生き物でも神秘的な「生命の誕生」ですが、なかなか乗馬クラブではそこに立ち会う機会はありません。乗馬クラブにいる馬達は、大人になってからの馬達がほとんどなのです。(以前、クラブに来てから妊娠が発覚して出産!という出来事はありました。妊娠発覚まで、お母さんはぽっちゃりさんと思われていました(笑)また、海岸公園馬術場のきなこも同じです。思わぬ、そして嬉しい誕生でした。)馬の品種は200種類以上ありますが、クラブの馬達は多くがサラブレッド。競走馬を引退しで乗馬クラブにくる馬達がとても多いのです。(競走馬以外にも、最初から乗馬用としてくる馬もいます)すぐにはレッスンに出ることができないので、クラブに来た後は調教を重ね、少しづつレッスンデビューをしていきます。
いろいろなご縁とめぐりあわせでクレインに来てくれた馬達、その馬達が「クレインに来てよかったなぁ♪」と思ってくれていますように。飼育されている馬達の寿命は25~30年くらいといわれています。競走馬たちも引退後、クレインでよい馬生を過ごしてもらいたいと願っています。
written by Okanami