初老ジャパンメンバー出場!馬事公苑に総合馬術を見に行こう!
この夏、パリオリンピックで日本が92年ぶりにメダルを獲得した馬術競技『総合馬術』。馬場・クロスカントリー・障害と3種目を同じ選手と馬の組み合わせで競います。いわゆる水泳の個人メドレーのような競技です。
今回は初老ジャパンメンバーの北島隆三選手と田中選手にお話しを聞きながら総合馬術の魅力に迫りたいと思います。
総合馬術を見に来てほしい
日本では、競馬はまだテレビや競馬場で見ることができ、毎週開催されているが、総合馬術競技というと、開催される場所も限られ、なかなか競技情報を得ることも難しい。ただ、彼らがトレーニングをするイギリスでは違う。日本でいう競馬のような感じで毎週馬術競技が行われ、レジャー感覚で観覧するそうだ。
北島選手「イギリスでは競技を見に行くというよりは、家族で遊園地やピクニックに行く感覚、そもそも競技をやっている場所がお城とかの庭で開催されていたりするので・・大阪城を見に行ったらクロスカントリー競技をやっていたみたいな感じ。」
田中選手「実際、この間Blenheimの競技に参加していた時、たまたま日本人の観光客の方がBlenheim宮殿を見にいらっしゃっていて、実はクレイン岡山の会員さんだったんですけど(笑)『あっ、何か馬の競技やっている』とプログラムを見たら日本人の名前がある!となって会いに来てくれた方がいらっしゃいました。」
北島選手「なかなか日本では開催されることが少ないですが、やっぱり現地に足を運んで見てもらいたい。特にクロスカントリーなんかは迫力が違うと思う。」
馬との話しあいが大事
3種目で競う総合馬術、どんなルールでどこをみたらいいのでしょうか?
北島選手「総合馬術を見に行くなら、ルールは知っておいた方がいいと思います。競技は減点法で3種目の総減点が少ない人馬が勝ちとなります。馬場は正確に、決められた運動項目をいかにスムーズに馬と息を合わせて演技ができるかが大切になります。そのためには、競技場に入ったときから馬の様子を見つつ、競技本番までどうアプローチしていくか考えて調整していきます。クロスカントリーは・・やっぱりスピード、スピードを保ちつついかにその中で馬と話し合いができてコントロールがつくかどうかが大事。」
ちなみに、パリオリンピックのクロスカントリーコースは5,149m、そのコース上に28障害(41飛越)が設置され、規定タイム9分02秒でした。もちろん規定タイム以内にゴールできなければタイム1秒オーバーごとに0.4減点となります。
田中選手「もちろん馬の体力も見ながら走ります。コース後半反応が悪くなったりもするので、やっぱり、会話、馬との会話ですね。会話しながらいかに最後まで走り切るか考えながら走っています。」
勝ちたいマンが出ちゃうとダメ
今回のインタビュー、実は先日の全日本総合馬術大会の際に話を聞きました。その日は丁度クロスカントリーが行われた日、お二人は選手のコーチをしていたので、クロスカントリーの走行を見ていました。
北島選手「下のクラスを見ていても、最後馬が疲れてきているなというのは見られる。クロスカントリーは馬のスタミナが試されるのだけど、やっぱり走行のスムーズさによって変わってくる。急ブレーキ急発進だと燃費が悪くなるのと一緒、今回の走行を見ていても、みんな、絶対勝ちたいマンが強すぎる。走行が強い・・速い、いい速さではない。勝ちたいマンが出ちゃうとダメ。」
田中選手「絶対勝ちたいマンって(笑)確かにリラックスと集中が大事ですね。ただ経験してきたからわかることでもあるので・・・僕は気楽さを保てるように、初日の馬場の前はトレーニングを見ながらリラックスして、終わればクロスカントリーコースを歩きながら走行をイメージして、集中しているけど少しぼーっとしているような、リラックスしているというのは大事で、逆に緊張していると馬に伝わって普段通りの走行ができなかったりする。」
「余談ですけど、今回お二人のポスターを作る際、田中さんのクロスカントリー写真を見ていたら、ほとんど飛越しているときに笑っていて(笑)選ぶのに苦労したようです。」
北島選手「この人はおかしい、おかしい(笑)」
田中選手「いいじゃん、いいじゃん(笑)飛ぶ前は真剣、飛んだあとにやった!ありがとう!って、馬と会話してますんで(笑)」
馬のウェルフェアを守る
2種目目のクロスカントリー競技は馬にとってはタフな競技、人間でいえばフルマラソンを走り終えたような感覚、その後に障害馬術という3種目目があります。ちゃんと競技ができる状態か?確認するために障害の前には2回目のホースインスペクション(馬体検査)があります。このホースインスペクションを通過しないと最終競技には臨めず失格となります。
北島選手「これはもうやっぱり、それだけタフなクロスカントリー競技をやっているので、固定障害ですし、馬がどこかに脚をぶつけたりしているかもしれない・・馬の不和を守るという意味でも必ず必要、この競技ならではですね。」
障害馬術競技は短い時間の中で集中力が必要
北島選手「最後障害馬術は、バーを落とさないっていうのが一番なのだけど、やっぱり前日にあれだけのスピードで走っているので、障害を飛ぶということに対して馬の注意力が薄れている。」
田中選手「クロスカントリーは前に飛ぶけど、障害は上に飛ばなければならない、しかもバーはかけてあるだけで落ちやすい。」
北島選手「最終日をゼロで帰ってくるか、4落5落して帰ってくるか、気持ちがだいぶ違う。人がミスなく終えるようにしたい。総合馬術は3種目、どこが欠けても上位に入れない、競技に入ってからの1週間の集中力が必要です。」
お二人の話はまだ続きますが、本日はここまで、ありがとうございました。
初老ジャパンメンバーの競技シーンを見られるチャンス!
明後日11月29日(金)から世田谷区にあるJRA馬事公苑が開催される RRC FINAL 2024に北島選手と田中選手が出場します。
『RRC』とは、Retired Racehorse Cupの略であり、引退競走馬杯という意味の競技です。
さらに監督を務めていた根岸淳選手も出場、ぜひこの機会に『総合馬術』を馬術競技を見に行ってみてください。
総合馬術競技の見どころ、クロスカントリー競技は11月30日(土)に行われます。
詳細は特設サイトからご覧ください。