馬との出会い・・・相性って何なんですか?
3回目の今回は馬との出会い、相性ってどういうことなのか?お話を聞いてみました。
馬との相性って何なんですか?
ー「今まで、その第三者の目があって、2人はイギリスまでトレーニングに行って、成長してきたっていうところもあると思うんですけれど、やっぱり馬との出会いみたいなのはかなり大事だったんじゃったんじゃないかなと思うんです。 そもそもその馬との相性って何なんですか?」
二人揃って「フィーリング。」
ー「フィーリング?喧嘩しないってこと?」
北島選手「乗って、好きか嫌いか・・」
田中選手「乗った感じ・・だいたいあるじゃないですか、人でも合う人合わない人が、それと同じだと思います。」
ー「けど、馬は言葉が話せないじゃないですか、馬にまたがったとき、合図を出した時の反応とかですか?」
北島選手「軽速歩でも馬によって全然違うんですよ。この動きが好き、この動きがちょっと嫌とか、僕らなんか欧州の選手に比べたらカラダが小さいでしょう、だからでかい馬は乗りこなすのが難しいと感じてしまう。
好きなタイプもあるし、あと経験でその馬が乗りこなせるか乗りこなせないかはだいたい想像ができる。お互いのことを知り合っていく、ということはどの馬ともあるけれど、同じ時間を費やすなら自分に合う馬との方がいいと思う。」
―「そういう馬にどうやって出会うんですか?」
田中選手「たくさん試す。乗りに行く。セールスの話が来たら試しに行く。」
―「血統とかも関係あるんですか?」
田中選手「あまり気にしないけれど、いい馬は大概血統が良かったりする。」
―「けど、最終的にはまたがったときの、乗りのフィーリングが決めてになるんですよね。」
北島選手「そう、例えば、障害を飛んだ時の馬の飛び方とか、馬によって全然違いますよね。」
田中選手「試乗して、さっと速歩した瞬間、やっぱり違うとかあります。」
なるほど、なかなか言葉で説明することは難しいですね・・
キーポイントになった馬との出会い・・
―「そんな、馬との出会いの中で、お二人にとってキーポイントになった馬を一頭あげるとしたら?」
田中選手「あれですね。タルマダルーですね。出会いも印象的でしたし、フランスに3日間行って20頭くらい試していたんですよ。最後の最後に出てきたんですけど・・・だいたいが馬を出すとき厩舎から出してくるんですね。
まずは馬体を見るじゃないですか、いい馬は品があるんですよ。タルマダルーの印象は“これ大丈夫じゃないな”という感じだったんです。すごくボサボサだったんですよね。けど何か引っかかって、乗ってみたらこれだ!という感じで。」
―「なるほど、印象的な出会いですね。」
田中選手「タルマダルーに出会って一緒に組んでからいろいろ勉強しましたし、自分が選んだ最初の馬だからこそ、世界選手権、オリンピックを共にしてきて、自分にとってもキーポイントになった馬だと思います。」
ー「北島さんは誰ですか?」
北島選手「やっぱりフェローザかな、共通して言えるのは自分で育てたというところ、タルマもフェローザも、この2頭に関しては経験をしていないところからちょっとずつレベルを上げていくという・・いい経験ができて、やっぱり若い内はいっぱい失敗するし、馬も知らへんから、例えば、障害の向こうが下りになっている障害を飛ぶのに、馬は最初は知らないわけですよ、下りになっているということが、他と同じようにドーンと飛んだらびっくりする。けど一回経験したら、次は僕のバランスがこうなっていたら下りかもなって馬が構えるようになる。上手いこと行かない時はダメな指示をしたことを馬も覚えているし、そういうことをたくさん学んだなっていうのはありますね。」
―「この間9月に出場したバーレー5*はフェローザですよね?」
※ちなみに5*はオリンピックのよりさらに上のクラスの競技になります。
北島選手「うん、そうです。フェローザでもう5*は2回出場しましたからね。バーレーは15位でしたし、すごい馬です。」
―「やっぱり、そういう経験が馬に乗る上では必要?」
田中選手「大事です。絶対、必要ですよ。馬に乗っていくうえで。」
北島選手「もちろん、経験のある馬に乗せてもらって、違う馬に乗ったときにこうしたら少し近づけるかもしれない、というのもあるので、経験のある馬に乗るということも大事ですし、やはりオリンピックや5*レベルまで行けるっていうのはなかなかあることではないから。」
田中選手「そこに行くまでがね。すごいっていうか奇跡的なところもありますよね。怪我もありますからね、本当に一緒にそういう舞台までいけたっていうのはすごいことだと思います。」
―「いろんな馬、できている馬とかにも乗って、自分の経験を積みつつ、自分で自分に合う馬を探していくっていう目が、そういう馬との出会いに繋がっていく可能性があるということですね。」
北島選手「やっぱり、最終的に心の頼りにもなるし・・ここ一番というときに頼りになる。野外なんかは特にそう、野外はもうやっぱり上へ行けば行くほど、頼む!という時は出てくるんで、そういう気持ちが伝わるっていうのもあるよね。」
―「気持ちは伝わりますか?」
田中選手「伝わりますね。馬もね、ポジティブなときもあればネガティブなときもあるので、行きたくないなっていうときもありますよ。それを何回か競技を共にして、大丈夫っていうのを理解していくにつれてポジティブになってきて、馬が自分から行けるようになるっていうのもありますし、逆に競技で失敗をして馬の記憶に残ると、そこから立て直すのに時間はかかりますし、だから、そうならないように人のミスが無いように気を付けて乗っています。」
言葉を話せない分、気持ちや動作、普段のコミュニケーションで馬と共に成長していくことができる。馬術って素晴らしいスポーツですね。
経験を積みつつ、自分で馬を探しに行くっていう意識と、かつ一緒に成長していくために、その馬とともにまた経験を積んでいくことが良い出会いを生んでいく、馬との出会いに繋がっていくという。そんなお話でした。今日はここまで、ありがとうございました。